読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

つらつら草~平行読書中。

主に読んだ本のことについて書くと思います。

三島由紀夫による、古典へのいざない『古典文学読本』

三島由紀夫の『古典文学読本』を簡単に読んだ。

一読して、忘れかけていたあの典雅な古典の世界の魅力を思い出した。これは良いアンソロジーである。

 

古典文学読本 (中公文庫)

古典文学読本 (中公文庫)

 

 

 彼は特異な作家であり、優れた批評家だった。そのことを再確認させてくれる。私は、彼の文学の読み方が好きだ。彼はまだ言葉にされていないことをあえて言葉にしようとする。古事記に描かれた夫婦神の最初の過ちについての『相聞歌の源流』など読むと、彼のもどかしさがよくわかる。とても好きな文章だ。『変質した優雅』もそう。彼の評論にはダイナミズムがある。彼が古典について語る時、その語りは徐々に高まってゆき、いざ現代について語る段になると、その勢いは突然ディミヌエンドし始める・・・・・・。面白い作家だ。単なる懐古趣味ではない。この作家は本当に現代に絶望している。ポーズではない。本気だった。

私は和歌に詳しくないのだが、どうやら彼は古今和歌集の美に注目していたらしい。また、新古今和歌集は妖しきデカダンの美だとも。

生きていれば今年で91歳。彼の作品もやがて『古典』になるだろう。