つらつら草~平行読書中。

主に読んだ本のことについて書くと思います。

二人のローベルト(ムージル・ヴァルザーを少し齧ってみて)

最近、ローベルト・ムージルとローベルト・ヴァルザーの作品を少しずつ「齧っている」。奇しくも同じファーストネームだ。よくある名前なのだろうか。詳しく知りたい方は、二人ともwikiに簡単な記事があるから参考にしてほしい。読んでいるのはムージル「特性のない男」とヴァルザー「タンナー兄弟姉妹」である。

 

ムージル著作集 第1巻 特性のない男 1

ムージル著作集 第1巻 特性のない男 1

 

 

 

ローベルト・ヴァルザー作品集 1 タンナー兄弟姉妹

ローベルト・ヴァルザー作品集 1 タンナー兄弟姉妹

 

特性のない男は、ウルリヒという、題名の通り「特性のない男」が主人公。父親が偉い役人かなにかだったと思う。一応、職業は「数学者」。何事にも才能がないわけではない彼が、女性と関係を持ってみたり、愛国的運動に巻き込まれたり、猟奇殺人犯の弁護をしたりする。唯物論的民主主義という言葉ははじめて聞いた(それはおそらくこの話のメインではない)。どこか皮肉気な、しかし嫌味はないムージルの書きっぷりは好ましい。けっこう長いが、未完だという。面白ければ未完でも関係はない。わりと読みやすいので全部読んでしまおうか? 何年後になるか・・・・・・。

 

「タンナー兄弟姉妹」の主人公の名はジーモン。まだ物語が動き出していないが(はたして動き出すのかどうかさえ分からないが)、一つの職業に留まっていられない性分らしく、長広舌をふるって自分を売り込んでは、ある日突然辞めていく。いろいろな場所を転々としている。ちゃんと兄弟姉妹も出てくる。ジーモンの性格が面白い。会話が長いが、読みごたえがある。全体的な雰囲気として、どこかユーモアがあるのははやはり好ましい。

 

 二人とも、ドイツ語圏で、カフカと同時代くらいの作家らしい。両方とも序盤を齧った程度だが、主人公がどこか浮世離れしていて、魅力的(?)なところが似ている気もする(そのような主人公は様々な作品にいるだろうが、その力の抜け具合というか、なにか素っ頓狂なところが近しいと思った)。カフカとも共通点があるのだろうか? しかし彼の作品にある孤独や寂寥はこの二人の作品からはまだあまり感じない。読み進めていくうちになにか気づくかもしれないが。

 

カフカと比べると知名度はだいぶ劣るだろうが、完成度(未完の作品もあるが)や面白さに遜色はない。秋の夜長にどうですか。