つらつら草~平行読書中。

主に読んだ本のことについて書くと思います。

一万の一千一秒物語

稲垣足穂、イナガキ・タルホーー彼の『一千一秒物語』はこんな口上からはじまる。 さあ皆さん どうぞこちらへ! いろんなタバコが取り揃えてあります どれからなりとおためし下さい そう、これは魔法のタバコなのだ。のんでいるあいだは幻を観られる、とって…

雪は頬に触れて涙の如く、己れへ還るしかない孤独に。

燭は孤独を描く…… 埋れた街々の夜を渉る幽かな鐘の乱打が、 悶え噎び遠く吹雪の葬列に送られてゆく。 (中略) 過ぎ去る後姿(うしろすがた)に立ちて君を送り、 払へど雪は頬に触れて涙の如く流れる。 この夜、吾が生の簒奪者に対つて拳銃を祈る! 吉田一穂…

トーマス・マンの散文性~『ヨゼフとその兄弟たち』の印象~

近現代ドイツの著名な作家トーマス・マンの『ヨゼフとその兄弟たち』をちらりと読んで、なんとなく思ったことがあるので書いてみる。というより、考えながら書いている。 冒頭から引用する。 過去という泉は深い。その底はほとんど測り知られぬと言ってもよ…

三島由紀夫による、古典へのいざない『古典文学読本』

三島由紀夫の『古典文学読本』を簡単に読んだ。 一読して、忘れかけていたあの典雅な古典の世界の魅力を思い出した。これは良いアンソロジーである。 古典文学読本 (中公文庫) 作者: 三島由紀夫 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2016/11/18 メディア:…

ブログ名を変えました。

というわけで、ブログ名を変更しました。「つらつら草」改め「つらつら草~平行読書中。」へ。 平行読書というのは、前回ブログに書いたムージルの「特性のない男」の中に出てくる「平行運動」というワードから勝手に思いついたのですが、幾つかの本を並行し…

二人のローベルト(ムージル・ヴァルザーを少し齧ってみて)

最近、ローベルト・ムージルとローベルト・ヴァルザーの作品を少しずつ「齧っている」。奇しくも同じファーストネームだ。よくある名前なのだろうか。詳しく知りたい方は、二人ともwikiに簡単な記事があるから参考にしてほしい。読んでいるのはムージル「特…

『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を再読する①プロローグ~エピグラフまで

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 (新潮文庫 む 5-4) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2010/04/08 メディア: ペーパーバック 購入: 8人 クリック: 25回 この商品を含むブログ (60件) を見る 世界の終りとハードボイルド・ワ…

久々の日記

一時期は熱心に書いていたが、すぐに飽きてしまう。よくあることだと思う。ブログを続けるのも大変だ。 本を読むことは難しい、と思う。時間がかかるし、解釈に難儀する。 趣味にするには難しすぎる。読書家という商売があるわけでもない。 しかしそれでも読…

大瀧詠一

大瀧詠一のCDを買った。(『EACH TIME』と『A LONG VACATION』) 期待通り、いやそれ以上の完成度である(いうまでもないことだが)。 この重厚な透明感あるサウンドはなんだろうか。『さらばシベリア鉄道』『フィヨルドの少女』にそれは顕著だ。 特に気に入…

ブログを書く理由

今週のお題「私がブログを書く理由」 ちょうど始めたばかりなのでお題について書いてみたくなった。 ブログを書くのは言うまでもなく「備忘録」と「考えを共有する」という二つの理由からである。 ある考えが浮かぶ。すると、記録しない限りその考えは永遠に…

断章

詩はある程度の「短さ」がないといかんと思う(変な言い方だ)。これは個人的な好みである。しかしブログの場合はそんなに短い文章で済ますわけにはいかない。ツイッターのようになってしまうからである。そういった使い方をしている人もいるかもしれないが…

部屋を検索

読書をするより、本の場所を入れ替えるほうが多いかもしれない。特に最近はつとにそうだ。あの作品のあの部分を読みたいと思ったときにすぐ近くにないと、何事もはかどらない。だから読みたくなりそうな本は手元に置く。しかしときどき自分でも意外な本が読…

折口信夫、安部公房、三島由紀夫の「詩」を読む

いきなりパッとしない写真で失礼。上の画像は左から『三島由紀夫全集37』、『折口信夫全集23』、『安部公房全集1』である。上記のほかに幸田露伴なども持っている。折口信夫は国文学者で歌人、安部、三島は小説家である。念のため。 ちょっと変な収集を…